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2月16日(金)第3日(午後)アグリジェント(神殿の谷)へ

 「アグリジェント」はシチリア最大級の遺跡が残る町。紀元前6世紀頃にギリシャの植民都市として栄えた。周辺には20余りのギリシャ神殿が残る。バス(往復15ユーロ)or電車(片道9ユーロ)片道に2時間を要する。で観光可能である。昼食は交通機関の中で?得意のサブウエイか?夕食はアグリジェント(軽食)か?パレルモか?パレルモ中央駅からRで毎時43分発。進行方向の前2輌に乗る。アグリジェント市内バスはワンデイチケット。3回乗るなら元が取れる。州立考古学博物館立ち寄り。「神殿の谷」との共通券がある

ホテル前時刻(107番線バス)11:03・11:19・11:35・11:51(20分で中央駅へ)
パレルモ中央駅(11:43)12:43発~アグリジェント(13:47)14:47着
バス12:00発(切符は車内で)復路は18:30(プルマンCuffaro社)
考古学博物館へ15:00~16:00
歩くと15分:バスの連絡もある。3回乗車するのでワンデイバスチケット。
神殿の谷へ16:00~17:30
アグリジェント発18:15~パレルモ中央駅20:17
プルマンCuffaro社:18:30発
パレルモ107番線バス:駅前発時刻20:24・20:44・21:04・21:29最終
バス乗り場の確認。最終に遅れたらタクシー。

 パレルモのホテルでのチェックインはできず,部屋番号確認と荷物のホテル預けを行った。ホテルでパレルモの地図とホテルカードを頂きホテルの外へ。バス停は直ぐ見つけることができた。添乗員からはバスは不定期で当てにならないことを何度も吹聴されていた。タクシーを使うようにとの誘導のようにも感じ取れる。ホテルからダウンタウンまで15~20ユーロが相場のようである。直線距離で4㎞。

テラモーネ(ビッグボーイ)

 ポンペイ遺跡のフォロの浴場にて,男性用の温浴室の壁に,このポーズの男性柱装飾が残っていた。このルーツはどこにあるのだろうと思っていた矢先アグリジェントに巨大(男性)柱テラモーネの存在を知る。これで建物を支えるという発想は同じものだと思われる。しかし,スケールが全く違っている。
 「ビッグボーイ」はその名の如く7.75mを有する。同じポーズを取ってみたもののその大きさをよけい感じ取ってもらえなくなってしまった。大きなホールは彼専用のスペースなのである。五十肩で腕が上がらず同じポーズにはほど遠い。

 バス停に着くか着かないうちに目の前にアウディのシルバーのセダンが止まった。「バスは来ないよ」とでも言わんばかりの仕草とイタリア語。白タクに間違いない。駅まで10ユーロで行く!?そうである。普段ならこんな話には乗らないであろう妻がさっさと夫を従え車に乗り込んだ。まさかの行動!?バスを待っていたらいつになるか分からない。できるだけ早くパレルモ駅に着くという目的を実行するために白タクに乗り込んだ。
 このおじさん人は良さそうで,いろいろ喋り掛けてくる。中央駅より遠い場所:お金のかかる場所に運びたいらしい。いろいろな手作りのパンフレットで,ここまでいくらと言うように営業を勧めてくる。時折現地の観光案内も入っている。あくまでも「セントラスタシオン」を言い通す。変な行動を取られたら信号で止まった時に降りようと堂々と日本語で相談することができた。彼は駅の前で止まってくれた。約束通り。
 帰りのバス停を確認。駅の並びに107番のバスを確認することができた。バスも停車している。駅に入るとアグリジェント行きの11時43分発の掲示も見つけることができた。現在時間11時20分。バスに乗るなら12時発。少しでも早い列車を選択。切符売り場で往復分を購入。片道9ユーロ×4。割引は無かった。係のおじさんはアグリジェント発の時間までもメモ書きしてくれていた。お礼に日本から持参した「折り紙セット」をプレゼント。喜んでくれていた。
 駅周辺にはファストフード店等は見当たらなかった。駅のコンコースに入るとマックを発見。妻に昼食担当をお願いし,発車ホームの確認に向かう。列車は3両編成。口コミの情報が正しいようだ。「地球の歩き方」では途中で切り離しがあり,前2両に乗るようにと書かれてあった。マックに引き返す。まだオーダーできていなかったので隣のカフェテリアのサンドイッチと果物に切り替えた。レモンティーとレモンコーラ・コーヒーも。お昼ご飯を列車に持ち込むことに成功。予定通り。
 しかし,車内が満員。人目も気になる。他の乗客が食べるのを確認してからの食事とした。車内禁食を案じたからである。朝食の少なさから大きなサンドイッチを平らげてしまった。車窓からは暫く穏やかな地中海:ティレニア海の海岸線が見える。長閑な人々の暮らしも垣間見えるかのようである。海岸の地べたにそのまま家が建っている。防波堤も何も無い景色に不思議さも感じながら。

ステーラ(救済)の街。帰国後テレビで特集されていた パレルモ~アグリジェントのコミューター 超親切にしてくれたジョバンニご夫妻。

 暫く走ると山越えのルートとなる。あちこちに羊や黄色い花をつけた植物が目立つ。その花の名前を前に座っているご婦人に聞くもその用途を話してくれ,花の名前は分からずじまいだった。後にカタバミであることが判明した。長閑な牧歌的世界に浸る。至る所に桜の花が咲き誇っている・・・と思ったのはアーモンドの花。突然トルコのカッパドキアの世界を垣間見た。大きな砦のような岩の周辺に集落が・・・。(まるでサッシのようでもある。)途中下車してみたい気持ちで一杯になってしまった。帰国後NHKの特集でシチリアが放映されていた。ステーラという街の名前が分かり,救済という意味があるそうだ。今も難民のためにイタリア語を教えている教室が存在している。
 変化に富んだ風景と同乗者とのコミュニケーションを楽しみながらの2時間余りの列車の旅となった。終点手前の「アグリジェント」が付いた駅でもここじゃないよと誰彼と無く教えてくれる。有意義な2時間を堪能できた。
 終点のアグリジェントに着いてからも一波乱・二波乱。今日一日が大波乱となる。下車後は階段を三階まで上る感じで外に出られる。エレベーターも設置されている。「地球の歩き方」は駅舎から出る前にバスのチケット購入を勧めている。州立考古学博物館にも行きたかったものだから1デイチケットを購入する予定でいた。予定より一つ早い列車に乗れたことから駅周辺の散策を開始してしまった。

ヘレ神殿下の出入り口から エックレジアタステリオン 博物館からヘラ神殿を臨む

 駅前のバス停の前にパトカーが停車している。前からお巡りさんが歩いて来る。とっさに博物館への行き方を尋ねるが英語が分からないからと敬遠される。バス停を物色していると彼の友達らしき男性:ジョバンニとその妻を紹介される。少しは英語が喋れるとのこと。博物館や神殿に行きたい旨を伝えたが,マイペースで案内してくれようとする。博物館と神殿に入るのでワンデイチケットを買いたいと行っても聞き入れられず2枚の切符を買う羽目になった。計画が崩れ始めた序章となる。

シチリアの地形をこの時代から把握していた? どこか和風のテイスト 貨幣経済も発達していた。

 そうこうしているうちにバスが到着。運転手に「ミゼウ」と伝えるが,降ろされたのは「ヘラ神殿」近くの入り口だった。博物館と神殿の共通券を買おうとしたものの博物館は1㎞戻ったところにあるという。優柔不断に迷っていると妻が「行こう!」の一言。共通券を買ってバスに乗って来た道を歩いて戻ることになる。時は2時20分。(チケット記載)割ときつい坂道である。それでもサボテンとアーモンドの花と地中海・神殿を眺めながらの散歩は日常を離れさせてくれるには十分であった。博物館に辿り着く。

ビッグボーイの使途 陶器の破片だが 卍の模様

路線バスには追い抜かれなかったので歩いた方が早いようだ。2㎞以上歩いている。窓口のお姉ちゃんは,いい加減だった。本当は1日を掛けてゆっくり回って見るべき所なのだ。途中にも発掘作業を行っている場所が確認できる。それでも㉓博物館に辿り着くことができた。⑯大きな円形劇場(エックレジアタステリオン)が出迎えてくれる。合いたかった「ビッグボーイ」(テラモーネ7.75m:ジョーヴェ・オリンピコ:ゼウス神殿の柱として組み込まれていた。)とも対面することができた。多くの出土品に時間の経つのも忘れて見入ってしまった。流石に美しい。
 「ビックボーイ」という呼び名を知ったのは,この博物館を出る前にトイレはどこ?と係員に尋ねたとき「ビッグボーイ」の隣と教えてくれたからである。妻はこの受付で「ジャップ」と言われるのを聞いたそうである。出掛けに「ノットジャップ。」「ウイアージャパニーズ。」と強い口調で訂正していた。

神殿の谷(Valie dei Templi)

ジュノーネ・ラチニア(ヘラ)神殿。
イタリアにギリシアのような構造物が残っていることを知らなかった。古代ギリシャの権力はヨーロッパ各地に広がっていたのだ。そういえばローマ水道はヨーロッパ各地で耳にする。シチリアはギリシャ文明の各地への伝播の拠点とも言うべき地点でもある。

 神殿の谷へは来た道を再び帰らなければならない。(実はショートカットも存在した)この往復にゆうに1時間以上を費やしている。ヘラ神殿側のチケットブースでお姉さんに1㎞ではないよ!2㎞以上ある!と文句を言い。相手はそんなことも承知の上だろう。ヘラヘラ笑っている。①ヘラ神殿から神殿の谷へ入る。この神殿は小高い丘の上に建っている。阪急トラピックスの一行が後を追ってくる。その一人にシャッターを押してもらった。日没も迫っている。②ビザンチン・アルコソリウムを左手に③コンコルディア神殿に。原型のよく分かる神殿である。⑦ヘラクレス神殿到着。列車の時間も迫り,たくさんの道程を歩かせたのでここからエスケープすることに決めた。

地中海に沈みかけた太陽 ビザンチン・アルコソリウム ヘラ神殿を臨む

 時間は5時過ぎ。出口でバス乗り場を尋ねるものの不確かな返答?指さされた方向に進むと⑧ゼウス神殿⑪ディオスクリ神殿⑩クトニア神殿等があるばかり。F修復研究所らしき場所でバス停を聞くものの博物館まで行けとの指示。いつもは閉めてあるゲートを開けてくれた。(○番号等は博物館で購入した地図上の数字)

コンコルディア神殿 遊び心満載!? ヘラクレス(エルコレ)神殿

 この時に初めて気が付いたことがある。この周辺一帯が道路工事で車が入っていない。ジョバンニはそのことを知らず,この係の方もバスの運行状況まで知らなかったのである。元のヘラ神殿の入り口まで戻るのがベストであったようだ。ここから博物館まではきつい坂道が続く。博物館まで行ってもバス停を認めることができない。とうとう妻がダウン。脈拍が上がっているという。過呼吸状態でもある。休み休みの行進。道端に横たわりながらも本通りへ。中島みゆきの歌にもあったように・・・。
 駅方面へのバス停が確認でない。神殿方面のバス停に妻を座らせ,最寄りの雑貨店で駅行きのバス停を尋ねる。2~3分行ったスーパーの前にあると親切に教えてくれた。その所在を確かめようと坂を上りかけると,元気を少し取り戻したのか道路を渡ってくる妻を確認した。後からバスが迫ってきたので,手を挙げるものの止まることはなかった。二人で200m余り歩くと,スーパーの緑の看板とその前にバス停があった。時間は7時を回っていた。この際,今宵の食料も調達しておこう。妻をバス停に残し食料調達へ。水・ヨーグルト・ジュース・パン・バナナ・オレンジ・バッチチョコレート等を購入。
 もうそろそろバスも来てくれないと最終の8時15分の列車に乗ることができないと,不安に駆られた頃バスがやってきた。切符を出しスタシオンを連呼。運転手はトレインかブース?かを問い直してきた。すかさずトレイン。アグリジェントの駅に辿り着くことができた。予定より2時間遅れ。7時43分の掲示が目に入った。臨時便でもあるのかと思い調べてみると到着時刻の掲示であることが判明した。

ディオスクリ神殿 クトニア神殿 長い1日の終わりに・・・。
 少しの安堵感からかお腹が空いてきた。駅の礼拝堂でさっきスーパーで仕入れた食料を食べることにした。バナナがことのほか美味しかった。日本のものと違う。原産地が違うのかも知れない。お腹が満たされ,帰りの列車の様子は記憶が飛んでいる。トイレ近くには座った?あっと言う間にパレルモに着いたような気がする。到着を誰かに促された。「あの10ユーロのおじさんいればいいのに!」妻が口にする。
 駅構内のタクシーの表示を頼りにタクシー乗り場に。1台のタクシーが止まっている。「地球の歩き方」からタクシーは交渉制がはびこっているようだ。添乗員も10~15ユーロを知らせてくれている。ホテルカードを見せ「ハウマッチ?」と尋ねると「メーター」と答えてくる。当てが外れた。少し不自然さ怪訝さを感じたので再び尋ねたが「メーター」と繰り返すばかり。10時30分。早くホテルに帰りたいという心理も働き乗り込んだ。メーターらしきものは見当たらない。コンピューターパネルが大きく目立つ。やけにスピードが速い。ホテルが見えてきたが車止めには入らず手前で良いかと聞いてくる。良いと言えば今まで見えなかった日本でもお馴染みの赤く輝いた料金表示が現れた。「37ユーロ」やられた!2倍の料金表示。一杯食わされた。ここでいろんなやり取りをしても埒はあかないことは予想される。「レシートをくれ!」というとレシートが分からない振り。
 メーターの確認をきっちりやれば良かった。前座席の中間シートを倒し後ろから見えない工夫がなされていた。こちらから金額を提示すれば良かったのかも?他のタクシーを探し交渉すれば良かった。ホテル従業員に助けてもらうこともできた。車や運転手を写真に撮っておく(観光客のお登りさんという具合に)。
 もしもの時のことを考えて添乗員はタクシーを安易に勧めたのだろう。しかし,この手のドライバーが責任を取るであろうか?運転も荒い。白タクのおじさんが安全運転で愛想も良い。「ボッタクラレ」防止のテクニックを是非伝授して頂きたいものである。また,この運転手は将来この付けが自分に巡ってくるとは思ってもいないだろう。この日「ボッタクレ」ればそれでいいのである。繰り返せばタクシーを利用する人々は必ず減ってしまう。そういえば口コミにパレルモのメーターでのボッタクリも掲載されていた。
 長い長い1日の終わりに不快な気持ちを残してしまった。ツアーメイト達はすべてホテルに帰っているようである。私達の荷物だけがバッゲジスペースに残されていた。
 この日の歩数25664歩。

ピアッツアアルメリーナ~カルタ・ジローネ